祖母の手紙

タンスを整理していたら見覚えのない紙袋を発見。

開けてみると独身時代にもらった手紙やらハガキだった。

埃でざらっとし黄ばんだそれらの束をつまんで見ていたら祖母の手紙が出てきた。




**さん昨日は御土産有りがとう

おたんじょうびお目出とう 心から御祝申し上げます

**さん自分と言ふ人間をあまりみじめに思わず心をしつかり持ち

人間誰れでも何かが一つは不足が有ります

自分だけと思ふと情なく思へますから心を大きく持ち

誰れとでも友達を持ちしつかりあゆみなさい

おばあさんかげながらお祈りします

少しですが御送りしますが何か買って下さい

では御元気でおばあさんも☆子のために今しばらくがんばります

                             さようなら
 



この手紙の記憶が全くないし、消印が読み取れないのでいつもらったのかわからない。

「☆子」とは母の妹で、女手ひとつで二人の子育てをしていた。

☆子叔母さんがまだ若そうなので、おそらく私が十代の頃だろう。

驚きなのは、自分のあざについて祖母と話したことがないのに、こんな風に思っていたことだ。

人の想いに気付かないままこんなに年取ってしまった。



この手紙を読んだとき、自分はどんな風に思ったのだろう。

私のあざについてはその昔、家族の中でタブーな話題だった。

なのに、こんなにストレートな内容に驚きでもある。



30数年後の今、手紙を読みながらいっぱいいっぱい涙が溢れたけど、案じてくれていたおばあちゃんはもういない。

天国に行ったら(行けたら)ありがとうと言ったり謝ったりしないといけない人がいっぱいだ。