ピンチ

週末、夫がただいまと言って帰ってきた。
が、しかし、ところが、

「おれ、なんかおかしい」と言って首をひねっている。
何かを思い出そうとしているようなので、
車屋さんやないの。今夜電話くるっていっとったやん」と言うと、
「車ってなんやったっけ?」とさらに首をひねっている。

「おれやっぱなんかおかしい」という前に、
私の方が事態の深刻さに気づいた。
あんなに楽しみにしていた車を契約したことを忘れている。。。。

会社を出てからの記憶はぼんやり。駅に着いてから家までの記憶は全くないらしい。
車でよく5分間無事だったものだ。

すぐに支度をしてかかりつけ医へ。玄関は閉まっていたが9時近くなのにまだ先生はみえてラッキー。

先生は「ふんふん」と話を聞きながら血圧を測っていたが、

「えっ!!・・・これはいかんわ」

見ると上の数値が211になっていた。下は130くらいだったか・・・。

救急車が呼ばれ、タンカーにぐるぐる巻きにされた夫が乗り込んだのを見届け、先に病院へ。




救急の待合室では妙に落ち着いていた。

やっぱり来るときがきたか。義母もおばあさんも若くして脳梗塞だ。
最近、夫はめっきり物忘れがひどい。
若年性アルツハイマーかもしれない。
入院だったら保険の手続きを忘れないようにしなければ。
ちっ!車のキャンセル料は高いかな。

そんなことを考えて待っていると先生から呼び出しが。

「CT検査では特に異常ありませんね。あと血液検査をします」



結局、血液検査も特に異常なしで、血圧も180から140と正常に。

「月曜日にMRIの検査も受けたほうがいいですよね」と一生懸命訴えても
先生は「さあ・・・、予約とらないとすぐには無理ですよ」と冷たい。

頭がまだぼんやりするという夫を連れて帰宅。
3・4時間前の記憶をちょっとずつ思い出してきた。


結局、一時的な高血圧による健忘症だったようだが、私はなんとなく釈然としない。


その日は残業で特に大忙し。ストレスと一緒に一気に血圧が上がったのかも。


ストレス=命を縮めるである。


「あのさ〜、これからは首にならない程度でボチボチ仕事したら。命が大事やで。
それと、もうお酒はほどほどやよ」と私。


今回は大事に至らなかったけど、こうやってひとつひとつ覚悟を決めていくのかな。

私も早く頚椎と脳神経の検査に行かなくっちゃ。お酒はいいかげん控えようと思いながら翌日には、


夫「まあ、飲みたいだけ飲んで暮らしていこか」
私「そうやねえ・・・」


ピンチがチャンスにならない二人である。